チャンネルがたとえ少なくても
活性化しているチャンネルが多ければ多いほど、その人らしさを発揮しているとも言えますが、だからといって少ないことが必ずしも悪いことではありません。
小児病棟で出会った男の子がいました(B君といたします)。
小児がんで治療をする目的で入院中に心理的なサポートを目的に関わっていました。
とてもしっかりとした子で、最初に治療を終え、退院する際には「看護師さん、いろいろありがとうございました」と泣きながら何度も繰り返し、まだ文字を書くことができなかったため、一緒にお手紙を書くことをしたりもしました。
時を経て、再び治療のために入院をして来てまた関わりが再開されました。漫画・アニメのone-pieceが大好きで、私もまた大好きだったため、どのキャラクターが好きか、どのストーリーが好きかなど、時には一緒にDVDを眺めたりしながら会話を楽しんでいました。
ワンピースのお気に入りのグッズを交換し合ったりもしました。今でも航海用の方位磁針(コンパス)は私の手元にあります。
B君のお母さんやお父さんとも、ワンピースの話題などを通じて会話をすることが時折ありました。ワンピースという「想像」のチャンネルでまさにつながっていました。
本当に残念なことに、B君は亡くなってしまったのですが、ひとつだけ特に忘れられない思い出があります。
小児病棟でアイスパーティのイベントがあった時のことです。病院の最上階にある展望台のスペースに子どもたちとご両親、医師、看護師、保育士や心理士が集まり、良い天気の中、賑やかに行われました。
B君もご両親も参加していました。B君はその時、意識はあるものの車椅子で、言葉もしゃべれない体調でした。用意されていたバニラやストロベリーなどのアイスを近づけても口にしません。
お母さんに聞くと、B君の好みの味はチョコミントだということが分かりました。
そこで私はあることを思い出しました。病院の近くにアイスの自動販売機があり、チョコミントも確か売っていたのではないかと。私は走りました。パーティが終わる前に、なんとか届けたい。
エレベーターを乗り継いで、走ってたどりついた自動販売機には幸運なことにチョコミントのアイスがありました。急いで買って、また走って展望台に戻りました。
そして、チョコミントのアイスをスプーンで差し出したところ、B君は口にしたのでした。「食べた!」・・・ご両親も喜んでおられました。間に合って本当に安堵しました。
限られた状況で食べるという「身体」のチャンネルひとつを取ってみても、人によってその違いは本当に色々あって、その子らしさ、その人らしさが現れるのだと気づかされます。
何年経っても、ワンピースやチョコミントのアイスを見かける度に、B君の存在を感じ、寂しさと懐かしさが私の心の中に静かに訪れるのを時折感じます。
あなた自身のチャンネル、そして大切な人のチャンネルに目を向けてみると、豊かな共通点や違いに気づき、新鮮に感じることがあるかと思います。
好奇心を持って、チャンネルを探検する機会を是非作って見てください。
現在日本BASIC-Ph Japan(立ち上げメンバー、トレーナーの一人として私も活動をしています)では、ワークショップや研修を通じて、楽しく自分のチャンネルを理解する、相手のチャンネルを理解することで生活や仕事に活かしていく機会を提供しています。
特にBASIC-Phのワークショップは、座学だけでなく体験的理解を重視しており楽しくグループワークを通じてチャンネルについて理解し、使うことができるようになるよう工夫されています。
また、開発者のムーリ博士直伝のBASIC-Phマスタートレーナー研修やフォローアップ研修を通じて得た知見を活かして、私の個人セッションやマインドフルネス・ワーク(詳細について後述いたします)等でも日々BASIC-Phの世界観についてお伝えしていますのでご活用していただければと思います。
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